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ふくひめライブ--絹の絃、人形浄瑠璃文楽と落語

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天満屋/曽根崎心中

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人形浄瑠璃文楽 12月鑑賞教室

英さん 清介さん

さーて本物でいきますよ
(どういう意味なのか)


しっとり、じっとり、ねっとり
清介さんはそうなんだけど
(なんだかまるで気持ち悪いみたいだけどそういうわけじゃなくて)

三味線の上向のメロディがあまりにドラマティック

天満屋のしつらい色柄
すべてに濃厚なはずなのです
そのお初と徳兵衛のためだけに創造された空間は

でも和生さんのお初ですから
手触りはさらさらしてる
安心してください


恋風の--

私は天満屋にいる
でも中にいるわけではなく
あれ・・・じゃあどこにいるの

--無残やな

のれんから音もなく出る
でもきれいな風が吹きます、のれんが揺れる

すべてをそぎ落とした清楚
それなのに、どきぃっとさせる

遊女のポーズ
お初は遊女=聖女=尼御前


和生さんは
傾城をお遣いになってもゴージャスから清楚が生まれてしまう

胸はきちんと張って美しいラインで魅せるけれど

--天満屋のお初は--

ねむりの娘は眼をとじる
生きていながら心はすでに仏に預けた
肉体はここにある
今はここにある

青白く病的

遊女ふたり
勘市さんと簑紫郎さん
いいわね、ちょうどよくかわいい

ふたりでお初を励ましてくれている
けれどそれはかえってツラいの
いやそれ以前に聴こえているかどうか
聴こえていない方がかえっていい

でも聴こえているのね
--言うてくださんすな

こわい・・初がこわい

彼女がつくる空気
初が制する空間はこの世ではなくなっていく

フェアリーと鬼神のはざま

死んでのけたい--と
くいっとくずれ落ちる

このポーズは和生さんにしかできない

ふわりと立ち上がり表を見る
夜を、闇をみつめる

闇のなかに徳兵衛

徳兵衛は、笠でカシラを隠して様式美で
しずしず、すごすご
おそるおそる

でも初に逢いたい--本能
ふたりは本能でひきよせられる

かわいい徳兵衛
勘十郎さんがおとなでなく、こどもでなく
かわいい徳兵衛を表出しているではないか

初は眼を閉じて
気がついて跳び出そうと・・・

それを和生さんが引き留めたのか
天性のエレガントだったのか
思いとどまり
青ざめて
--どうしょうぞ
苦しい、悶えているのに

この気持ちの表百があまりに清潔で
きれいすぎる
青く、白く

庭に降りる、清介さんといっしょに
映像のようにストップモーションで歩む

背後にいるふたりの遊女とは別の世界に棲む
ふたつの場面が並行している

人形芝居は
映画などよりはるか遠いむかしからこんな劇的モーションで魅せる
人間も人形もこうして時代を生きてきた

下手でふたりは空間を異にしている

空中を歩むけれど
地に足をつけている--私はまだこの世にいるの
人間なんです

そう?

すがりつく--ねえ、徳さん
あたしまだこの世にいるのかな、ツライもの、そうなのね

頭を重力のままに下げて沈み込む徳兵衛

初はそのカシラを下から心をこめて覗きこむ

悲しみ嘆いてさらに寄り添いながら
あちら側に近づいてゆく

--初や
亭主が呼ぶ

表情がこわばる
--わしがするようにならんせ

徳兵衛をうちかけに忍ばせ

なんという色香
ぬくもり

初のうちかけの中は温かいか
はだしの足先はぬくもっているだろうか

初が広げた真紅の羽根に恋しい男、かわいい徳兵衛はくるまれた
こうして完全に初のものになった

--恋し男をうちかけの--

涼しい表情で初は徳を運んでゆく
連れてきた
そしてこのままどこかへ連れてゆくの

つれていく
天満屋の縁先に腰掛けることが
逃避行

ちょっとまだここにいるけど
待っていて

うちかけをドレスのように調えて
お初きれい
眼の表情につらさは表れるけれど

眼を閉じ
キセル取り上げ--わたしは遊女
それは型でみせる

裾から顔のぞかせる徳兵衛
そんなにきらきら表情を輝かせちゃいけないわ

あなたはかわいい
色香はもう少しよ
でもその内面のかわいらしさはそれを補えてる

九平次が
ゆったりゆったり 優雅に舞い現れる

文司さんの九平次は優雅です--そうでなくては
文司さんがお遣いになる甲斐がない

上がりこむ
優雅だ

九平次にも天満屋の設えは似合う
彼も天満屋のために存在する

お初の清楚
ありえない、ドキドキする
華麗なる可憐

初は慈愛の無表情で徳をつつんでいる
足先のエロティシズムはコワいほど清楚

亭主は--玉勢さん(ずーっと気になっている方)

ふたりの遊女にはいつのまにか左遣いさんがいない
それとも最初からいなかった? わからない

九平次のクドキを徳はもだえながら聴いている
ここの英さんは説明している

でも私は聴いていないのです
だからいつまでもこの人たちの関係がわからないのです

初は
くいっと向き直りきりりと九平次を見遣り
--死なねばならぬ品(しな)なるが--

九平次は初がこわい
すでに仏のもとにあるひとだから
俗のただ中にいる九平次の手に負える人ではない

いえ九平次はふつうのひと
それがいけないということではない

初のクドキのきれいなこと
英さんの語りがふるえて、ふるわせて

梅の清楚さ--初は梅の精、妖精
(と自分の常套句を重ねるしかない、しかたない)

九平次の呼称は
--毛虫どの--

これだけ優雅な九平次を毛虫どの--

死する覚悟は初から
足元で徳を肯かせる

--恥を雪がいでは--
初コワい、九平次には初がコワい
気味の悪いひとりごと

徳兵衛が顔を裾に埋めると
--ホホホ・・・・・
--お前も殺すが合点か?
誰への問いかけだったのか

とくさまわしも死ぬるぞや

ここでの九平次は品がよくなければ--そうしてやっとこの芝居の品格が完成する
初がすべてを染めているのだから
その品に誰もがならなくては


九平次はお初がコワい
ここにはいたくないからーーよね二人を連れて出る

九平次がお初に別れを告げた

それでいい
また一歩完成に近づく

お初はこの世に別れを告げる
徳兵衛とそれを確かめて

そして
--徳さんあたし、亭主が呼ぶから座敷にあがる、あとで、ね

亭主に温かみがあります
玉勢さんはいい、何をお遣いになってもぬくもりがある
好みなんですね

--だなさん--

そそ、そそ、とうちかけひるがえし
徳兵衛を残して天満屋のお初という仮の姿に戻る

いったん静けさが支配する夜の天満屋

下女が
戸締りをしてあたしも寝なくちゃいけないもの--
火の用心--拍子木

お布団のべて
清介さんの子守唄で寝ましょうか、さてさて贅沢な

愛想のない表情のお福さんは
セレブ系とは違う身分であることが決定づけられている
脇にまわるひと


ふたりの行動は速い
徳兵衛が首を上げ見上げている

初はすでに障子をあけて柱に手をかけ身を乗り出し
なにか徳に合図を送った

鳥辺山のような詞章がふたりを突き動かす(近松だ)

釣り行燈--いかがしよ
そうね、箒に扇をしばりつけて

灯りを--
消えた

そして
落ちる

消えて、えい、とくずれ落ち

そこは真の闇

伏せた初の心の中は--私は徳さんといく--だからこのまま


さぐる、闇 さぐり寄る--

そこで待つ男
ふたりはーー闇 手を取った--闇 
出会った、つながった

つながっていく、うちかけひるがえし

徳兵衛も、初もはずんでいる
いたずらして逃げてゆくふたり

私の最後のいたずら

のんびり火を打つおふく女中
彼女がふたりを出してくれる

戸は開いた
微笑んで初は飛び出る

ひしと
また抱き合い

膝をふるわせさぐりひきよせ

三味線が先へ先へ
連れていくのか追い詰めるのか

送り出すのだ

死にゆく身のよろこび
--うふ、行ける-徳さん、行ける
歓喜

ついてきて

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